本日は連載シリーズ「TANJA農園の仕事」Vol.3をお届けいたします!
前回の連載では、収穫期に向けて農園がどのように準備を進めているのかをご紹介しました。広大な農園の中では、区画ごとの状況を見ながら作業の優先順位を決め、加工場や加工設備の整備を進めながら、収穫期へ向けた土台づくりが行われています。
そして今回は、その準備が実際の収穫という形で動き始める様子をご紹介します。
収穫というと、実ったコーヒーチェリーを摘み取る作業を思い浮かべる方が多いかもしれません。しかし実際の現場では、「摘む」だけでは終わりません。
どの実を収穫するのか。
どのように品質を確認するのか。
収穫されたチェリーをどのように次の工程へつないでいくのか。
収穫期の農園では、多くの人の手と技術や知識が集結して、一杯のコーヒーへとつながります。
“一杯のカップの向こう側”にある農園の仕事を、今回も少し近くからお届けします。
(1) 収穫は見極めることから始まる
収穫期になると、農園には赤く色づいたコーヒーチェリーが並び始めます。しかし、同じ木の上でも、すべての実が同じタイミングで熟すわけではありません。緑色の実、黄色く色づき始めた実、オレンジ色になった実、そして赤く熟した実。ひとつの枝の上にも、さまざまな成熟段階の実が混在しています。木についている実をすべて摘み取るのではなく、十分に熟したチェリーだけを選びながら収穫を進めていくので、熟した実の見極めがとても重要です。
「赤くなったらいっぺんに収穫」と思われるかもしれませんが、実際には同じ木に対して収穫時期の4か月何回も収穫作業をします。TANJA農園では、黄色く色づき始めたチェリーが完熟するまでの変化を定期的に観察し、記録する取り組みも行っています。自然を相手にする農業では、毎年まったく同じ条件になることはありません。気温や降雨量によって実の成熟スピードも変わります。
だからこそ、目の前の実が今どの状態にあるのかを知ることが、収穫の判断につながっていくのです。
収穫とは、単に実を摘み取る作業ではなく、自然の変化を見極める仕事でもあるのです。
【写真】成熟過程を観察しているコーヒーチェリー

(2) 収穫を支える人の目と手
収穫期になると、多くのワーカーが農園内のそれぞれの区画で作業を行います。広大な農園では、どの区画から収穫を進めるのか、どれくらいの人数を配置するのかといった判断も重要になります。
また、収穫では「どれだけ摘んだか」だけでなく、「どのような状態の実を摘んだか」も大切です。未熟な実が多く混ざればコーヒーの品質に影響し、反対に収穫のタイミングを逃せば品質も悪くなりますし収穫量も減ってしまいます。
そのためTANJA農園では、ワーカーごとの収穫量や、収穫されたチェリーの状態を確認する取り組みも行われています。これは単に作業を管理するためだけではありません。どのくらいの人員が必要なのか、どの区画を優先するべきなのか、そして安定した品質を維持できているのか。
そうした判断を行うための大切な情報になります。前回ご紹介した区画管理や人員配置の考え方は、この収穫作業に連動してきます。
【写真】収穫作業を行うワーカーたち

(3) 収穫されたチェリーは次の工程へ
収穫されたチェリーは、それぞれのバケツへ集められたあと、計量場所へ運ばれます。そこで収穫量の確認や品質チェックが行われ、加工場へと引き継がれていきます。
どの区画でどれくらい収穫できたのか。
チェリーの状態はどうだったのか。
収穫量だけでなく、こうした情報も次の判断材料になります。
農園では日々の収穫状況を確認しながら、収穫計画や加工場の受け入れ体制を調整しています。
そしてチェリーは加工場へ運ばれ、精製工程へと進みます。
Vol.1でご紹介した「圃場」と「加工」というふたつの現場は、この収穫期に最も強く結びつきます。
圃場で摘み取られたチェリーが、加工場へ受け渡される。その流れが滞りなく進むことで、はじめて次の工程へつながっていくのです。収穫は単独の作業ではなく、その後の加工や品質づくりへつながる大切な入口でもあります。
【写真】収穫されたチェリーの計量

(4) 一杯のコーヒーになるまで
こうして見ていくと、収穫の仕事は単に実を摘むだけではないことが見えてきます。どの実を収穫するのかを見極めること。多くの人が役割を分担しながら作業を進めること。収穫されたチェリーを加工場へ確実につないでいくこと。そのひとつひとつが積み重なり、一杯のコーヒーへとつながっています。
Vol.1では農園全体の構造を、Vol.2では収穫前の準備と段取りをご紹介してきました。そして今回のVol.3では、その準備が実際の収穫という形で動き出す様子をお届けしました。広大な農園も、そこで働く人たちの日々の判断と積み重ねによって支えられています。
現在、TANJA農園では、まさに収穫が始まっています。現地では、熟したチェリーを一粒ずつ見極めながら収穫が進められています。農園から届いた写真からも、日々の積み重ねによって収穫が進んでいる様子が伝わってきます。
【写真】収穫されたチェリーが集まる様子
摘み取られたチェリーは、一粒ずつバケツへ集められ、作業が進むにつれて収穫が形になっていきます。
バケツへ集められたチェリーは、この先、発酵や乾燥などの工程を経て、私たちの知るコーヒー豆へと姿を変えていきます。
3回にわたってお届けしてきた「TANJA農園の仕事」。農園の構造、収穫前の準備、そして収穫期の仕事をご紹介してきました。
この連載を通して、普段はなかなか目にすることのない農園の仕事や、そこで働く人々の日々の営みを少しでも身近に感じていただけていたら嬉しく思います。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
今年も収穫が始まったTANJA農園のコーヒーを、ぜひご自宅でもお楽しみください。